学会賞

園芸学会賞 ナシなどのバラ科果樹のゲノム解析に関する研究

​​

 山本 俊哉(やまもと としや)

兵庫県生まれ、博士(農学)。

東京大学大学院農学系研究科修士課程修了の後、

1985年に住友化学工業(株)農業科学研究所勤務、

1996年に農林水産省入省果樹試験場育種部、

2001年に農研機構果樹研究所遺伝育種部、

2016年に農研機構果樹茶業研究部門、

2018年に農研機構本部知的財産部長(~至現在)。

その他:園芸学会代議員(2016~2019年度)、

筑波大学大学院生命環境科学研究科・教授

(連係大学院)(2005年~至現在)

 ナシを始め、リンゴ、モモ、ビワなど主要な樹種を含むバラ科果樹は、日本の果樹生産額の半分弱を占める。果樹類では、樹体が大きく広い栽培面積を必要とすることや世代のサイクルが長く開花・結実まで数年を要することから、主要作物と比較して、遺伝・育種研究やゲノム解析研究が立ち後れていた。また、多数の個体をほ場に植えて、優秀な個体を選抜することが難しいため、DNAマーカーを新しい使った育種システムの構築が期待されていた。

【研究のポイント】

●ニホンナシやセイヨウナシで、共優性かつ信頼度の高いSSR(simple sequence repeat)マーカーを400種類以上開発し、一塩基多型マーカーも組合せて、ニホンナシ‘豊水’、セイヨウナシ‘バートレット’等で、世界に先駆けて高密度連鎖地図を構築した。開発したSSRマーカーは、各種ナシ品種の多様性解析、‘豊水’の両親探索など来歴の同定、DNA型鑑定での利用に有効であった。

●ニホンナシでは、重要病害の黒星病と黒斑病に強い性質、人工受粉の省力化につながる自家和合性、収穫期及び果皮色の識別に利用できるDNAマーカーを開発し、実際の育種における有効性を確認し、選抜効率を従来の3倍以上に高めた。さらに、高精度マーカーと高密度連鎖地図を利用して、「ゲノミックセレクション」や「ゲノミック予測」などのスマート育種技術の開発に繋げた。

●ナシ、リンゴでは、相互に利用可能なSSRマーカーを利用して、17連鎖群の全域にわたってゲノムシンテニーが存在することを初めて明らかにした。前述の重要形質(自家不和合性、アルタナリア病、収穫期、果皮色/さび)を制御する遺伝子座も両樹種の相同な染色体領域に存在し、機能シンテニーの存在が示唆された。.

ページの先頭へ

Sponsors:
  • sample banner
  • sample banner

広告掲載について

園芸学会が関係する国際学会・シンポジウム: