学会賞

園芸学会年間優秀論文賞 Hort. J. 92(4): 493–499.

Hort. J. 92(4): 493–499.

Light-yellow Coloration of Sweet Pea (Lathyrus odoratus L.) Flowers is Caused by Carotenoid and Regulated by a Single Recessive Gene

Yoshimi Yagishita1,2 and Masayoshi Nakayama2,3*

1Kanagawa Agricultural Technology Center, Hiratsuka 259-1204, Japan

2Graduate School of Life and Environmental Science, University of Tsukuba, Tsukuba 305-8572, Japan

3Institute of Vegetable and Floriculture Science, NARO, Tsukuba 305-8519, Japan

<研究内容>
 スイートピー(Lathyrus odoratus)はマメ科レンリソウ属のツル性の一年草である.花色の多様性が大きく芳香にも優れていることから世界的に園芸利用されており,日本は世界最大の切り花生産地となっている.これまで花色の主要色素として赤色や紫色の発色を担うアントシアニンが報告されている.市場では黄色花色の需要が大きく染色されたものが多く流通しているが,スイートピーの黄色花色は淡黄色のみで濃黄色の品種は存在しない.今回我々は黄色の発色に関わる色素や形質の遺伝性を明らかにした.淡黄色品種‘アルテミス’の紫外光および青色光を用いた非破壊観察により,淡黄色はカロテノイドにより発現している可能性が示唆された.花弁抽出物の分光分析とHPLC分析により,黄色の発色を担う色素はアシル化されたルテインを主要とするカロテノイドであることを明らかにした.ルテインは他植物では濃黄色の発現を担うことから,スイートピーでもより濃い黄色品種の育成が期待される.スイートピーでは,アントシアニンの生合成に補足遺伝の関係にあるRC遺伝子が関与している.遺伝子型がRRcc である白色品種または他の淡黄色品種との交雑後代の分離から,淡黄色の発現は1つの潜性遺伝子yにより制御されていること,‘アルテミス’の遺伝子型はyyrrCCであること,YRおよびCとは連鎖していないことを示した.またY, R, Cが互いに独立の関係にある場合に,‘アルテミス’との交雑で得られるF2における理論分離比を,親品種,F1およびF2における花色と遺伝子型の関係とともに示した.その過程で,赤色品種の中に,濃黄色品種作出の有望な育種親となる,‘アルテミス’よりもカロテノイドを多く蓄積する品種を見出した.

<授賞理由>
 本研究はスイートピーの花の淡黄色がフラボノイド化合物の蓄積ではなく,カロテノイド蓄積に由来することを示し,カロテノイドの蓄積はアントシアニンを蓄積する品種花弁でも確認されること,アントシアニンを蓄積しない変異型をホモに持つ場合に黄色の花色を発現することを見出している.くわえて,カロテノイド蓄積は潜性の単一遺伝子によって支配されることを明らかにし,カロテノイド分解酵素をコードする遺伝子との関連について言及している.以上のことから,花きの花色発現の多様性に関する知見を供し,これまでに作出されていないスイートピーの濃黄色花品種の育種への可能性を示唆していることから,学術的にも実用的にも優れた論文である.

<研究概要>

 

 

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