学会賞

功労賞 ジベレリンとプロヒドロジャスモンの混用散布によるウンシュウミカンの浮皮軽減技術の開発と普及

 近年の気候変動により,多発傾向にあるウンシュウミカンの浮皮症状を軽減するため,静岡県柑橘試験場(現静岡県農林技術研究所果樹研究センター)を中心に,農研機構果樹研究所(現果樹茶業研究部門),和歌山県果樹試験場によるウンシュウミカンの浮皮軽減技術開発グループは,植物調節剤であるジベレリンとプロヒドロジャスモン酸の混用散布処理によるウンシュウミカンの浮皮軽減技術を開発しました.浮皮は,果皮のアルベドと果肉が分離する生理障害で,食味が落ち,腐敗しやすくなるため貯蔵や流通段階で問題となります.

 2010年に貯蔵に適した晩生品種向けに農薬登録され,浮皮を強く抑制し貯蔵により着色を回復させる技術として普及しました(写真1,2).その後,ジベレリンに伴う着色遅延を抑えるために低濃度での利用が検討され,2014年に早生・中生品種の利用に適した,低濃度側への適用拡大により,全国のみかん産地に普及が進みました.

 本技術は,1回の散布(収穫3か月前)で確実な浮皮軽減効果が得られることから,近年,気候変動による温暖化の影響が強まる中,課題となっていたウンシュウミカンの浮皮対策技術として広く推奨され,貯蔵ミカンの品質維持とブランド強化に大きく貢献しています.

 

  

(写真上)GP剤の散布(GA3.3ppm+PDJ25ppm)によって浮皮が軽減され、その効果は貯蔵中も続きます。

(写真下)果実の着色が遅れますが貯蔵することで回復します。

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