学会賞

功労賞 果樹のジョイント栽培の開発による早期成園化と省力化の実現

 神奈川県農業技術センターでは,ニホンナシの早期成園化を実現するために,密植に加え,主枝をつなげることにより樹形を単純化した「樹木の樹体ジョイント仕立て法」(特許第4895249号)を開発しました(写真左).樹と樹をつなげ一体化した樹形を確立する発想はこれまでになかったもので,ニホンナシにおいて通常10年以上かかる成園化を5年で達成することを可能とした画期的な技術です.また,植付け時点で骨格枝が完成し、側枝の配置が単純化されるため,整枝・せん定作業が大幅に簡易化されると同時に,作業動線の単純化によって作業効率が大幅に向上します.

 老木化が進み改植が急務であるニホンナシ産地にとって,改植による長期の収量減・収入減を回避し,担い手の規模拡大を可能にする技術として,全国のナシ産地約100㏊に導入され(特許許諾:32都県34団体),ニホンナシ産地の改植促進に貢献しています.

 また,新たに開発したジョイントV字樹形は(写真中央),樹高を低く制限することにより,早期成園化とともに栽培管理の大幅な省力化や農薬散布量の低減等が可能となり,他県と共同でカキ,ウメ,リンゴ,モモ,スモモ等様々な樹種への適用を進めた結果,カキ等では全国的に導入が始まっています.

 さらに,産官学共同研究プロジェクトにおいて,自動化を含む汎用機械の開発のベースとなる樹形として,リンゴ,ニホンナシ,セイヨウナシ,カキ,モモ,オウトウを対象に,収量や品質を低下させることなく作業の機械化及び自動化が容易なジョイントV字樹形の共同開発に取組み,様々な作業に利用できる自動走行車や,人と同程度の速度で果実を収穫するロボットの開発(写真右)を大学,メーカー等と進め,今後の研究成果が大いに期待されています.

 以上のように,果樹のジョイント栽培は,果樹園の早期成園化や栽培管理の大幅な省力化を実現する技術として,果樹産地振興に大きく貢献し,さらに,画期的な果樹栽培のロボット化を可能とする機械化樹形として,将来の果樹産地を変革可能な技術の開発に道筋を開きました.

 

  

(写真左)「樹木の樹体ジョイント仕立て法」(写真中央)ジョイントV字樹形(写真右)人と同程度の速度で果実を収穫するロボット

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