学会賞

園芸功労賞 リンゴわい性台木JM7の育成 

 農林水産省果樹試験場(現農研機構果樹茶業研究部門)では,挿し木繁殖性が高く病害虫抵抗性に優れるわい性台木の育成を目標として,1972年から台木の育種試験を開始しました.JM7は,挿し木繁殖性を有するマルバカイドウ「セイシ」とわい化性を有するM.9との交雑実生から選抜されたわい性台木(写真左)で,全国のリンゴ産地の研究機関11カ所の協力を得て,地域での特性や普及の可能性を評価する系統適応性検定試験を実施しました.その結果,台木としての優秀性が認められ、1999年に品種登録されました.
  JM7はわい化性,挿し木繁殖性,病害虫抵抗性,耐水性,高品質果実生産性などの優れた特性を有します.2016 年において,13 道県の1198.5haでリンゴ台木として利用されており,M.26,M.9に次いで広く普及しています.さらに,全国果樹技術・経営コンクールにおいてJM7を利用した生産者が表彰されるなど,リンゴ生産における軽労化,高品質生産および収益性向上に寄与しています.
  わい性台木JM7の特性は世界的にも注目されており,今後も利用が拡大することが見込まれていることから,国内のリンゴ産業の発展に貢献しています.

【研究のポイント】

●JM7は休眠枝による挿し木繁殖性が良好(写真中央)で,黒ボク土壌における露地挿しの活着率は90%以上である.

JM7のわい化程度はM.9~M.26相当と評価され,既存の台木より果実の生産効率および糖度が高い(写真右).

リンゴワタムシ,根部病害のクラウンロット,3種の高接ぎ病の病原ウイルスに対して抵抗性を有するとともに,M.9より耐水性が強い.

                  

 

 

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