学会賞

園芸学会年間優秀論文賞 園芸学研究 21(4): 433-440.

園芸学研究 21(4): 433–440.

施肥時期改善による露地栽培ニホンナシの発芽不良軽減技術の検証

腰替大地 1・坂上陽美 1・阪本大輔 2・杉浦裕義 3

木﨑賢哉 1・内野浩二 1・杉浦俊彦 2

1 鹿児島県農業開発総合センター果樹・花き部 899-3401鹿児島県南さつま市金峰町大野

2 農業・食品産業技術総合研究機構果樹茶業研究部門305-8605 茨城県つくば市藤本

3 農業・食品産業技術総合研究機構果樹茶業研究部門ブドウ・カキ研究拠点739-2494 

広島県東広島市安芸津町三津

 

<研究内容>

  近年の秋冬季の温暖化に伴い,九州などの西南暖地では,露地栽培ニホンナシにおいて,耐凍性が十分高まらないまま極寒季を迎えることで混合芽が枯死する“発芽不良”が顕在化してきている。そこで,本研究では発芽不良の発生軽減が期待される春施肥の有効性を5年間にわたり検証した。その結果,“豊水”,“幸水”ともに,慣行の秋施肥から春施肥に変更することで,耐凍性が向上し,5年間安定して発芽不良の発生が軽減された。また,春施肥に変更することによる果実品質への影響は見られなかった。このことから,近年の気候変動においても,施肥時期を春に変更することで,ニホンナシを安定生産することが可能と考えられた。

<受賞理由>

温暖化に伴いニホンナシの発芽不良現象が西南暖地を中心として問題になっている.ニホンナシ栽培では秋冬の窒素施肥が一般的であるが,著者らは全量を春施肥とすることで芽の耐凍性が高まり発 芽不良を軽減でき,果実品質への影響もないことを5年間にわたる研究で明らかにした.施肥時期変更という生産現場での技術が耐凍性向上,不発芽対策になり得ることを実証したことは果実生産上極めて有用な知見である.よって,本論文は園芸学において技術的に優れた論文であると言える.

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