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Hort. J. 94(4): 438–443. Long-term Preservation of Japanese Pear (Pyrus pyrifolia (Burm. f.) Nakai) Pollen
Masashi Yamamoto1, Kinya Maeno2, Kazutaka Shinohara2, Akihiro Higashi2, Norio Takada3, Takami Sakaue2, Atsushi Shimada1, Naoko Kozai1 and Itaru Kozaki1
1Faculty of Agriculture, Kagoshima University, Korimoto, Kagoshima 890-0065, Japan 2Fruit Tree and Flower Division, Kagoshima Prefectural Institute for Agricultural Development, Kinpo, Minamisatsuma, Kagoshima 899-3401, Japan 3Institute of Fruit Tree and Tea Science, NARO, Tsukuba 305-8605, Japan |
<研究内容>
花粉の長期保存は,遺伝資源保存および育種利用の面で重要である.本研究ではニホンナシ(Pyrus pyrifolia (Burm. f.) Nakai)花粉が最低50年間は保存できることを示した.1973年に‘長十郎’の新鮮花粉を採取し,直ちに3.3~13Paで15分間凍結乾燥した.その後,花粉を真空状態でアンプルに密封して-20℃で40年間,その後-30℃で10年間保存した.2013年および2023年に,この花粉の生存能力を調査した.花粉発芽率では保存花粉と新鮮花粉との間に有意差は認められなかった.2013年に‘幸水’と‘新高’に40年間保存した花粉と新鮮花粉を受粉した.受粉後の雌ずい中における保存花粉の花粉管の伸長は正常であった.‘幸水’および‘新高’で保存花粉受粉の結実率はそれぞれ77.1%および86.7%で,1果実あたり3.2個および8.3個の完全種子が得られた.2023年に50年保存花粉を受粉した‘幸水’の結実率は66.7%,1果実あたりの完全種子数は3.5個であった.いずれの形質においても,保存花粉と新鮮花粉受粉果実との間に有意な差は見られなかった.本研究の結果,ナシ花粉を-20~-30℃で凍結乾燥保存した場合,最低でも50年間は生存能力を維持できることが明らかとなった.
<授賞理由>
花粉の冷凍保存,長期保存に関する研究は多数あるが,本研究のように50年もの長期間保存した花粉の稔性を評価した事例はなく,極めて興味深いデータを提示している.稔性の評価も単に花粉発芽のみでなく,実際に果実を獲得し,実生の形質まで評価していることが特筆すべき点である.本研究は,植物の花粉の特性,生殖質の保存に関して極めて貴重なデータを示しており,園芸研究者のみならず植物研究者全般にとって重要な知見を提供する優れた論文である
<研究概要>
